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乳腺外科

ニュース・お知らせ

10月6日、13日の両日、FMはつかいち(FM76.1MHz)のはつかち医療情報コーナー(9:00、13:20、18;20)に乳腺外科 船越医師が出演しました。その内容をご覧頂けます。内容は乳がんの診断と治療についてです。

2010年10月29日

乳がんの診断と治療1

今回のテーマは「乳がんの診断と治療について」です。

JA広島総合病院 乳腺外科 主任部長 船越真人が答えます。

質問:
「乳がん」は今では様々なメディアで取り上げられたり、耳にする機会が多くなりました。そして乳がんは増えていると聞きましたが、日本での現状はどうなんでしょうか?
船越:
現在日本では約5万人の女性が乳がんにかかっています。女性のがんでは第一位です。また1万人の方が乳がんで亡くなっています。これは25年前の2.5倍の発生頻度です。増加傾向はまだまだ続くと思います。
質問:
どうして増えているのでしょう?
船越:
乳癌の一番の原因はエストロゲンという女性ホルモンです。出産経験がないなど、エストロゲンが分泌されている期間が長い人ほど、乳がんになる可能性が高くなるといわれています。
質問:
ということは、最近の非婚傾向や高齢出産などのライフスタイルの変化が影響しているということですか?
船越:
そうですね、
乳がん増加の背景にあるのは日本人のライフスタイルや食生活の欧米化だろうといわれています。ライフスタイルは2年や3年では大きく変わらないので、今後、日本の乳がんは増え続けると思います。
また、最近ではアルコールの取り過ぎなども乳がんのリスクを高めるといわれています。閉経後の肥満もよくありません。
質問:
乳がんは遺伝するのでしょうか?
船越:
お母さん、叔母さん、姉妹などが乳がんの場合リスクは高くなります。家族性乳がんのうち原因遺伝子を持つものを遺伝性乳がんといいます。この遺伝子がある方は80%の確率で乳がんになります。
質問:
親族に乳がんの経験者がいる場合は特に注意が必要ですね。
船越:
はい、確かにリスクは高いですが、早期に発見できれば治る可能性が非常に高い病気です。がんで命を落とさないためには、毎年の検診しかありません。
質問:
乳がんの検診はどんなことをするのですか?
船越:
マンモグラフィーという乳房を挟んで写真を撮る検査です。35歳以上の方は毎年受けましょう。
質問:
どこに行けば検診してもらえますか?
船越:
市町村の自治体の検診を利用するのが簡単だと思います。
また、「女性特有のがん検診推進事業」として、対象者には6月に無料クーポン券が配布されています。40歳より60歳まで5歳刻みの方はこの無料クーポンを利用してください。広島総合病院の健康管理センターにお電話いただいて予約するのもよいと思います。
山口:
検診を受けてさらに精密検査が必要になった場合など、乳がんに関しては何科に相談したら良いですか?
質問:
必ず乳腺外科を受診してください。産婦人科ではありません。乳腺専門医の先生に診てもらってください。広島総合病院にも今年4月より乳腺外科が開設されています。
質問:
それでは、JA広島総合病院、健康管理センターの電話番号をご紹介しましょう。
0829-36-3111 0829-36-3111 検診予約担当までお願い致します。なお受付時間は平日の午後1時~4時までとなっています。また、JA広島総合病院のホームページにも、乳がん検診についてのお知らせがありますので、そちらもご覧下さい。
質問:
今回は、「乳がん」とはどんな病気なのかについてお話して頂きました。次回は「乳がん」の治療法などについて教えて頂きたいと思います。

 

乳がんの診断と治療2

今回のテーマは「乳がんの診断と治療について」です。

はじめに 先週は「乳がん」は現在、日本では女性のがんの中で患者数が最も多く、しかも増え続けている身近な病気であること、そして、乳がんで命を落とさないためには定期的な検診で早期発見することが重要であることを教えていただきました。今回は、治療についてお話を伺っていきたいと思います。

質問:
実際に乳がんだと診断された場合、治療はどのように行うのですか?
船越:
乳癌の治療は手術と抗がん剤などの薬物療法が2本柱です。腫瘤の大きさが小さくてわきの下のリンパ節に転移がない場合は最初に手術をします。
腫瘤が大きい場合や、わきの下のリンパ節に転移がある場合は最初に抗がん剤を使って腫瘤を小さくして手術します。手術後も抗がん剤や女性ホルモンを抑える薬などが必要になる場合がほとんどです。
質問:乳がんの手術と聞くと、胸を全て切ってしまうとか女性には酷な手術というイメージがあるのですが、どんな手術をするのですか?
船越:
かつては乳がんの手術は、乳房を全部取ってわきの下のリンパ節をすべて取っていました。
しかし、現在は乳房の一部分を取って、わきの下のリンパ節を少し取って転移がないか調べるセンチネルリンパ節生検という方法が最も多い方法です。もちろん必要な場合はわきの下のリンパ節をすべて取ってしまいます。このように、乳がんの外科手術は縮小される傾向にあります。できるだけきれいな乳房を残す努力もされています。
ただ乳房を残した場合は術後放射線治療が必要です。乳房切除した場合は乳房再建も積極的に適応されるようになっています
質問:
手術には長期間の入院が必要になるのでしょうか?
船越:
いいえ、入院は約1週間です。前日に入院していただいて手術は1時間程度です。全身麻酔で行います。手術後の回復は早いです。
質問:
手術の後遺症はありますか?
船越:
リンパ節をすべてとってしまった場合は腕が少し腫れたり、動かすと痛みが出たりすることがあります。リハビリをしっかりすることで解消されます。
質問:
手術後の薬はどのようにして決まるのですか?
船越:
現在、乳がんは大きく4種類に分かれる事が分かってきています。
手術した組織を詳しく調べ、どの種類のがんであるのかを確認して、その人に最も適した薬を使うようになっています。がんの個別化治療といいます。
質問:
治療についてお話を伺ってきましたが、まずは少しでもがんにならないために自分で気をつけることも大事だと思います。乳がんの予防のためにできることはありますか?
船越:
日本古来の食生活を見直し、バランスの良い食事をとるとともに、適切な運動を行い肥満体型にならないように気を付けることが一番です。
質問:
二週にわたって乳がんについて教えていただきました。確かにがんは怖い病気ではありますが、絶望的な病気ではなく、きちんと治療すれば治る病気なんですね。
船越:
そうですね。乳がんの治療は非常に進歩してきています。しかし最も大事なことは早期発見です。検診に定期的に通いましょう。少しでも症状のある方は乳腺外科を受診してください。

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