臨床研究検査科

血液・一般検査室

血液検査とは

血液の総量は体重の約1/13を占め、体重60Kgの成人では4.5~5ℓになります。血液検査室では血液の有形成分(血球)の検査と、液体成分(血漿)から凝固線溶検査などを行っています。

血球分析

自動血球分析装置を用いて、血液細胞(赤血球・白血球・血小板)の数と白血球分類、酸素と結合するヘモグロビンの量を同時に分析します。
貧血は赤血球の数が減少することですが、同時に分析した赤血球の大きさやヘモグロビン量、網状赤血球の測定により貧血の原因を検索する指標になります。
分析装置では白血球を好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球の5種に分類します。それぞれの血球は各種全身の疾患で増減し炎症や免疫状態を評価しています。

血液像検査

塗抹標本を作製して顕微鏡で血球形態を観察します。形態異常のある血球や幼若な細胞、白血病細胞などを検出し病態解析や血液疾患などの評価をします。機械では捉えることが出来ない異常を臨床検査技師が目でみて判定しています。

凝固線溶検査

血液の止血に関する検査を分析装置で測定します。
血漿には凝固線溶因子という血液が血管内で固まったり(凝固)出血したりしないように働く蛋白質が含まれます。凝固因子の働きで血液が固まる時間や、血栓を溶かす線溶因子の働きを調べることで、出血の傾向や血栓の出現を判定できます。抗凝固薬の治療効果の確認や薬剤の投与量を決める検査でもあります。

その他

骨髄検査、血球沈降速度、血小板凝集能などの検査を実施しています。

一般検査とは

尿や便、嘔吐物、脳脊髄液、胸水、腹水、心嚢水、関節液、精液、肺胞洗浄液など血液以外の様々な体液を分析しています。



尿検査について

尿は腎臓で血液をろ過して作られています。尿検査は腎・泌尿器疾患の診療だけではなく、全身状態の評価と病気を推測するためのスクリーニング検査です。

○尿定性検査は、試験紙を用いて尿に含まれる成分から体の状態を示す基礎的な情報10項目を短時間で同時に検査します。健康診断で行われる尿蛋白、尿糖、尿潜血検査は尿定性検査の項目です。

○尿沈渣検査は、尿を遠心沈殿させて得た沈渣物を顕微鏡で確認する検査です。当院では自動分析装置も併用しています。膀胱炎では白血球や細菌など認め、腎臓病では赤血球や円柱と呼ばれる特有の蛋白成分などを検出します。また尿路に発生した癌細胞が見つかることもあります。疾患の早期診断、治療効果や薬剤の副作用の判定に役立ちます。

便検査について

○便潜血検査は、便に血が混入していないかを調べます。当院では便中ヘモグロビン検査を採用し主に腸の出血で陽性となります。大腸がん検診の1次スクリーニング検査としても実施しています。
また、便を顕微鏡で確認し消化吸収状態を確認する便中脂肪検査や寄生虫の検出なども行っています。

穿刺液検査について

脳脊髄液・胸水・腹水・関節液など病的に増加した体液を採取して検査します。

○髄液検査は、臨床検査技師が顕微鏡で髄液細胞数算定とその分類を行い、分析機では蛋白・糖・LDHなどを検査します。髄膜炎や脳炎などの感染症、くも膜下出血、脳腫瘍など中枢神経系疾患で採取される体液の検査です。

○関節液検査は、痛みと関節液が貯留する関節疾患の診断に必要な検査です。原因となる結晶成分の鑑別は偏光顕微鏡を用いて行っています。

その他、様々な体液中に含まれる細胞の算定を実施し、診断・治療方針の決定、治療効果判定に用いられています。

▲膀胱炎(白血球と真菌)

▲病的円柱出現

▲尿路上皮癌細胞