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泌尿器科

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当科の前立腺癌検診(前立腺生検)について

2013年7月 1日

前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)の上昇は、かなり高率に前立腺癌の存在を示唆します。一般的にはPSAの正常値は4.0以下とされています。
しかし、最近の当科での検討で、PSAが正常値以下(4.0以下)でも前立腺癌が発見されるようになりました。特に70歳前後では、PSAが4.0以下でもかなり高率に前立腺癌の診断がつくことがあります。前立腺癌が疑われた場合、確定診断のため前立腺生検(組織診断)を行います。

当科での前立腺生検は1泊2日の入院で行います。肛門から検査用の器具を挿入して、超音波(エコー)で前立腺を観察します。超音波の画面をガイドに生検針を用いて、前立腺の組織を10―12本採取します。時間にして10分前後です。
バイオプシーガンという優れもので、一瞬のうちに組織採取ができます。痛みもそれほどではありません。
2011年1月から2013年4月まで(2年3ヶ月)に当科でおこなった前立腺生検は、711件(年間300件以上)でした。以前はPSAが4.0以下の陽性率は2-5%といわれていました。

今回の検討では、PSAが4.0以下の症例は101件、そのうち陽性(前立腺癌診断)は19件で陽性率は18.8%と高率でした。PSAが4.1-10.0の生検件数は411件でそのうち癌と診断されたのは164件で陽性率は39.9%でした。一般的な陽性率は10-20%といわれていました。この二つの群では、一般的な陽性率を遙かに超える結果となりました。また、以前はPSA4.0-10.0はGrey Zoneといわれており、積極的な生検は推奨されませんでしたが、今回の検討ではそれが否定的な結果となりました。(陽性率58.7%)

このことより、当科では、60歳代では、PSA3.0以上は生検を必要と考え、積極的に行なっています。
早期発見―早期治療(前立腺全摘出など)が前立腺癌による癌死を低下させるものと考えています。

JA広島総合病院 泌尿器科 小深田義勝 H25 6/20

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